カウンセリングサロンrenka
悩みを砕いていく話
悩みは、誰しもが抱えているものだと思います。
人生を揺るがすほどの大きな悩みではなくても 「あの人と気が合わないんだよなぁ」とか 「どうも玉ねぎ苦手~」とか。
本当に些細な 泡のようにポコポコと生まれ消えるものは 誰もが持っているでしょう。
「もうちょっと鼻が高かったら」 まじまじと鏡を眺めているうちに
「眼も小さいし離れてる! うわ!口は変にデカくてバランス悪い!」 「あれ?毛穴やばくない?」 「なんでこんな顔に生まれてしまったの? 神様は私の顔面で福笑いしてたの?」 「・・・こんな顔だから恋人が出来ないんだ!」 と、一つの要素について考えているうちに 次々と悩ましい事柄が増えていった ・・・なんてことはないでしょうか。
感情や欲望・願望は 抑圧され続けると 似通ったものとくっつきあい 「一つのまとまり」になる性質があります。 それが『コンプレックス(複合体)』と呼ばれるものなのです。
その「一つのまとまり」は どんどんと質量を増していきます。
日常的に心を圧迫され 息苦しさを感じるたびに その存在感を感じ 記憶に刻み込まれていきます。
初めは取るに足りない小さな悩みだったものは 気付くと 見上げるほど大きく育っています。
この育ちすぎた「一つのまとまり」を あなたはどうするでしょうか。
私は 小さい頃から 思い悩むことの多い子供でした。
機能不全家庭で育って 多くの矛盾を抱えたまま過ごしていました。
「それ」が心を圧迫する感覚も よく知っている 馴染み深いものでした。
でも正常な状態ではないことは理解していて しょっちゅう 抜け出す方法について考えていました。
最初は 時間を掛けずに 簡単に出来ないかと 甘いことを考えていたのだけれど たどり着いた答えは、対極にあるものでした。
まず、塊を観察すること。 どんなふうに絡み合って今の形になっているのか 見て 触れて 知り それが元は何であったのか追及していく。
それは大きくなるにつれ 様々なものを飲み込んできた存在です。
じっくり観察すると 自分の容姿に対する不満と 恋人が出来ないことへの不安のように 全くベクトルの違う気持ち同士が結合していることが 実に多いことに気付きました。
そこまで気付けたら あとは 自分が飲み込みやすい大きさになるまで 結合面を砕いていくだけ。
心の要素と要素を繋ぐものは 思い込みから生まれた感情であったり 形のない不安であったり 自分の問題では無かったりします。
心の要素を一つ一つ検めていくことは 決して簡単な作業とは言えず 地道で 時間がかかるわりに 痛みを伴い しんどいものです。
それでも すべてを一度に片付けようと その方法を探していた時間よりも ずっと有益のように私は思います。
自分の心の 受け入れられる所と そうではないところを 冷静に仕分けていくことを繰り返すと 自分の心がどんな形をしているのか 少しずつ 理解できるようになっていきます。
自分への理解が深まると 作業は 格段に早く楽になっていきます。
心理学を勉強するようになって このテクニックには チャンクダウン という名前があることを知りました。
私オリジナルだと思ってたのに残念 という気持ちと 同じような悩みに惑っていた人はたくさんいて その人たちも 私と同じような思考過程を辿ってこの答えに行きついたのか、と 不思議な仲間意識のようなものを感じ ちょっとほっこりしたのを覚えています。

惑いの中にいる時には 大抵の人は焦りを感じています。
早く解決しなきゃ さっさとこの問題を終わりにしなきゃ
そんな風に先を急ぎ 現実的ではない解決策を夢想しています。
今までの人生で育ててきた悩みの集合体ですから 一つ一つ 自分を育て直すように 向き合って ほぐしていくほうが 返って早いように思うのです。